2011年5月19日木曜日

ウエサク祭

5月17日は満月だった。

友人から、
「今回の満月は特別であり、京都の山奥鞍馬寺で“ウエサク祭”という祭があるから行こう。」
と誘われ、仕事終わりに天狗で有名な鞍馬寺まで、叡山電車に揺られて向かった。
祭は本堂で行われるため、電車を下りてから、20分程山道を登る。
祭というので出店などがあるのかと思いきや、あたりはひっそりとしていて、本堂までの山道は真っ暗であった。途中、手に小さな火を持った人とすれ違いながら、上で何が起こっているのかまったく見当がつかない。

やっと登りきったその先には、想像とはまったく違う光景が広がっていた。そこには何百という小さなひかり(心の灯火というらしい)が境内いっぱいに灯され、みなその火を見つめているのである。その光景は唖然とするものだった。


しばらく、あたりの様子をうかがっていると、私たちが着いた時間はちょうど第一部が終了した時であり、もうすぐ第二部が始まるらしい。人だらけの境内でなんとか場所を確保し待っていると、第二部の開始が告げられた。指示されるがままに、何百人が満月の方を見て座り、小さな鐘の音に続いて、パーリー語のお経が読まれる。そのお坊さん(スリランカの方もいらっしゃった)の小さな声が、いくつも重なって、あたりは不思議な空気になる。信じられないが、境内一杯の人々が静まり返り、みなお経を聴きながら、月に向かって瞑想しているのである。
一切予習をしてこなかった私たちは見よう見まねだが、この空気感を共有しているだけで、とても神聖な気持ちになっていく。

45分程で瞑想が終了し、境内の真ん中に盛られた、植物の山に火がつけられ、大きな炎と煙が満月の夜空に昇っていった。実はこの祭、朝まで続くらしく、翌日の仕事を控えた私たちは終電ぎりぎりで下山し、帰路についた。京都8年目にして、初めてこの祭りの存在を知った。とことん奥の深い土地である。ちなみにこの祭りは世界中で行われているそうである。

※この祭は、祈りの間撮影は禁止されている。写真はインターネットから拝借した。
※下記は鞍馬寺による説明(興味持った方はちゃんと調べてみて)


【五月の満月には天界と地上の間に通路が開け、ひときわ強いエネルギーがふりそそがれるという。この夕、満月に清水を捧げ心のともし灯を輝かせつつ、ふりそそがれる神秘的なお力を身に受けて、自分とすべてのものの「めざめ」のための熱い祈りを捧げるのが、光と水と聖音の祭典「五月満月祭(ウエサクさい)」である。
祭典は三部に分かれ、第一部は「きよめ」の祈りで、祭典に集う人々は、まず自己と場の浄化のために魔王尊を讃仰(さんごう)する。月が天頂に近づくころ、ひとりひとりが持つ純粋無垢な心の象徴の「心のともし灯(び)」に灯が点(とも)される、祭場がともし灯に埋まると、銀碗に清水を満たし月に祈りを捧げる。
次にともし灯を高く掲げて、真実に生きぬくための強い力を与え給えと「お力の宝棒」の加持(かじ)を受け、月光のふりそそがれた明水をわかち頂き、慈愛のみ恵みを心に満たす。そして第二部では、月光を受けながら大地に腰をおろし静かに「はげみ」の瞑想を行い、夜明けの近い第三部には、智慧(ちえ)の光を輝かせ真実に生きることへの「めざめ」を象徴する聖火が天を衝(つ)いて上がる。
最後に全員で『心の書(ふみ)』を唱え魂の夜明けを迎える】

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