2011年5月15日日曜日

おと とし


春は田植えの季節である。田んぼには次々に水が入る。夜、月明かりが揺らめく田んぼは、まるで海のようだ。田んぼ道を行く車は、ヘッドライトが長く伸びまるで船だ。

また、田んぼに水が入るとカエルが夜な夜な大合唱をする。高校の頃までは、街灯もない田んぼの一本道をカエルの声を聞きながら家まで帰っていた。地元は1年中いろんな声や音が聞こえている。キジの声、虫の声、山の音、川の音、田んぼの音、水路の音‥‥京都に出てきてからあまりそういった音を聞いてない気がする。今も窓を開けているが、聞こえてくるのは雨の音だけである。(それはそれでいいのだが)

外の音がしない分、できた空白を音楽を聴いて必死に埋めているような気さえする。音楽はすばらしい。ないと生きていけないぐらい、毎日時間ができれば音楽を聴いているし、ライブでだってたくさんの快感を味わってきた。しかし、都市をでて、自然の音を意識したとき、自分の気持ちが急に安定していくのを感じる。イヤホンをしていることがもったいない。

これだけ都市にどっぷり使った生活をしながらも、やはり自分は都市に対してどこか否定的になってしまう。それは難しいことうんぬんもあるけれど、やはり自分が一番安心できる場所が都市ではないからだろう。

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