2013年2月6日水曜日

ベオグラード→コトル→ドブロヴニク




201326日 ベオグラード→コトル→ドブロヴニク


ブルガリアの首都ソフィアからセルビアのベオグラードへ移動。バスからの風景はどこまでも木のあまり生えていない山と広大な畑、牧草地が続く。僕の描いていた典型的なヨーロッパの風景。ヨーロッパはありえない寒さで「今から向うのはやめたほうがいい」と旅行者に言われていたが、ソフィアは思いのほか暖かかった。しかし、ベオグラードでその言葉を痛感する。それこそ寒いを通り越して痛いのだ。鼻や耳が取れてしまいそうである。

ベオグラードには99年にNATO軍の空爆によって破壊されたビルがそのままの状態で残っている。爆撃によって破壊されたビルは今まで見てきた地震などの自然災害で崩壊したものとは全く違った。ひと目でどの方角から爆撃されたかがわかる。ここバルカン半島(セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、クロアチア、スロヴェニア、マケドニア、アルバニア、ブルガリア)はどの時代も常にどこかで争いが起きている。第一次世界大戦もここから始まっているし、70年代、80年代、90年代そして0年代さえも・・・それがこの半島がヨーロッパの火薬庫と言われる所以である。国の体制や連邦も次々と変わる。今街を歩く自分と同じ年の若者もそういった争いを経験しているのだ。どの国、民族、宗教の視点に立つかによって見え方も変わってくるので一概にどこが悪いというものでもない。

寒いセルビアは一瞬で通過し続いてモンテネグロのコトルという街に移動する。モンテネグロは人口62万人、面積も福島県と同じ程の小国だ。セルビアからモンテネグロに入るとすぐに深い渓谷に入る。両側に迫る岩肌は地層がはっきりと識別でき、ダイナミックに湾曲し複雑な谷を作る。また海岸線はリアス式海岸になっており穏やかな海が広がる。当初から行こうと決めていたわけではなかったので何の期待もしていなかったが、それが逆に新鮮な驚きをもたらしてくれた。複雑な湾の最深部に世界遺産コトルの街はある。周りを高い山々に囲まれ天然の要塞になっているのでかつてこの街は相当栄えたようだ。城壁に囲まれた旧市街は古い建物が綺麗に残っており、歩いているとまるでタイムスリップしたかのような感覚になる。しかも観光客はオフシーズンのためほとんどいない。

翌日はコトルから北上しクロアチアに入国。ここまで毎日出入国を繰り返しているとまるでスタンプラリーをしているような気分になってくる。まずはアドリア海を望むドブロヴニクという街にやってきた。旅の途中で出会った友人が勧めてくれた場所だったのだが、峠を超えてバスから夕日に照らされたこの街が見えた瞬間、友人が勧めてくれた理由を一瞬で理解できた気がした。本当に美しい街である。この街ではSOBEという民宿に宿泊することにする。僕がお世話になった家はセルビア人の家族が経営しているのだが、旦那さんは91年のクロアチア独立の際に大学の教授という職を失ってしまったらしい。実はこの宿を紹介してくれたのはコトルで会ったおじさんなのだが、彼はクロアチアからモンテネグロまで逃げてきたセルビア人だった。複雑な問題は現在進行形だ。この土地を旅していると国というものは随分と危ういものなのだと思う。誰が自分の国が無くなったり、半分に別れてしまうと考えるだろうか。逆に言えば、そういった意識を持たなくていい日本という国()はかなり恵まれた立地にある。

小さい時テレビで見ていた戦火の下にはこうも美しい景色があり、人々の日常があったのだ。それは来てみなければ分からなかった。けして自分とは全く関係ない土地で、関係のない人が、キチガイに銃を撃ち合っているわけではない。ここにいるのは自分と同じ様に日常を送っている人々だ。

それにしても綺麗な海である。このアドリア海では豚も空を飛ぶ。



※ドブロヴニクでお世話になっている宿はHP、メールアドレスを持っていませんが、本当にいい宿です。アパートタイプで部屋にキッチン、シャワー、トイレ全部ついています。夏場に長期滞在する人用の宿ですが、オフシーズンの今12ユーロ(この辺りのドミと一緒)という破格で泊めていただいてます。その代わり宣伝しろということだったので、情報だけ載せます。電話したらカタコトの英語を話せるおばさんが出てくれます。

◆VWKANOVIC' SLOBA
→IVA VOJNOVIC'A25
→020‐332‐075
地図


4 件のコメント:

  1. はじめまして。今年8月下旬から10日程、ベオグラード、ドブロブニクを旅行する予定の者です。記事を読ませていただき、ご質問したいことがあったのでコメントを投稿させていただきます。
    今現在、あまり旅程も長くないためベオグラード-ドブロブニクは空路を考えていますが、せっかくなら、往復だけでも陸路を使おうかとも考えています。そこで、川上さんの使われた移動手段について教えていただけないでしょうか?
    また、ドブロブニクの宿ですが、9月も空いているかご存知でしょうか?メールなど宿の方への連絡手段がもしあれば教えていただけると幸いです。
    突然のご連絡にも関わらず質問が多くなり申し訳ありません。

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    1. ご連絡ありがとうございます。

      僕が覚えている範囲でご質問にお答えします。
      まずベオグラード、ドブロブニク間の移動に関してですが、ベオグラードの長距離バスターミナルでモンテネグロのコトル行のバスチケットを購入し、夜行バスで10時間ほどかけ移動しました。コトルで一泊した後、ドブロブニクまでバスで4時間かけて移動しました。僕が現地に滞在していたのはオフシーズンだったため、バスの数は少なかったですが、9月であればもう少し多いのではないでしょうか。また、ベオグラード↔ドブロブニクの直通バスはチェックしていないのでわかりません。

      次にドブロブニクの宿に関してですが、メールアドレスは持ってられないと思います。PCなどに弱わそうなおばさんでした。なのでブログの最後に載せた宿名と番号しか情報はありません。おばさんはカタコトの英語であればしゃべれていました。僕のすぐあとにドブロブニクに行った友人は、バスを降りた瞬間にこのおばさんが客引きにきたと行っていました。そして9月はおそらくやっているのではないでしょうか。

      あまりお力になれなくて申し訳ありません。
      コトル・ドブロブニクは本当に素晴らしい場所でした。楽しんで来てください。

      川上

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  2. 川上さん
    お返事ありがとうございます。
    今日から移動手段を調べ始め、お陰様でいろんな情報に出会うことができました。
    モンテネグロは、「Bar」というところも乗り換え地点となり得る移動方法があり、
    バスにしようかそれとも鉄道か、はたまたフライトのみにしようかー、、、と。
    なんにせよ10日ほどしかないので、時間をうまく使って十分に楽しめるようプランイングしなければ、ですね。
    >コトル・ドブロブニクは本当に素晴らしい場所でした。楽しんで来てください。
    ありがとうございます。ドブロブニクはずーっと行きたかったところなので、8月が待ちきれません。
    コトルも素晴らしい場所なのですね、もう少し調べてみようと思います。

    色々とありがとうございました。
    川見さんもよい旅を!enjoy the rest of your trip!

    ブログ、ちょくちょく読ませていただきます。

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  3. 始めました。4月18日から3週間、中欧の旅を計画しているものです。
    ベオグラードからコトルまでの夜行バスの件で質問があり投稿をしました。
    eurolineのセルビアのページを見ていると予約をできないようですが、夜行バスチケットは現地で予約なく購入できましたか?また毎日運行しているようでしたでしょうか?
    私の見ているページがセルビア語の表記しかなく翻訳をしながら読むと、1日おきに運行と書かれているような気がしたので質問をさせていただきました。
    分かる範囲でお答えいただければうれしいです。
    よろしくお願いいたします。

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