2011年4月2日土曜日

ぼくらのコンパス

震災から3週間が経った。

観測史上最大の地震により20世紀文明はことごとく壊滅した。というよりも地震で20世紀文明とは何だったのかが明確になった気がする。そしてとどめに福島の原発事故である。

しかし、その中で、現地の避難所などではお年寄りが力を発揮し、声を掛け合ったりしているようである。テレビの画面で何もなくなってしまった自宅前で、笑いながら「もう一度やりなおそう」というおばあちゃんが映っていた。
今回被災した地域は、雪かきや季節風など人が生きていく上でどうしても自然と向き合わなければいけない土地である。昔からその土地に生きてきた人々は、自然をコントロールするのではなく、自分もその中の一部であるという自覚(感覚かもしれない)を持って、様々な知恵を生み出してきた。そういった知恵や精神は壊滅どころか、震災によってより力を増している。
ぼくの好きな作家の言葉に「文明とは、その土地の自己表現である」というようなものがある。人からの視点ではなく、土地からの視点である。こう考えたときに、日本の風習、芸能、祭り、宗教、生活に至るまですべてに納得がいく。これだけ自然に恵まれ、その分災害も多かったこの国では、物事は常に"うつりかわる"ということがそべての基本になっている。他力本願の考えなどもそうだろう。
戦後、日本は欧米を手本に発展してきた。その過程であちらの価値観や精神に合わせていく必要性が出てきたし、その中で育った僕らの世代にはいつの間にかそういったものが擦り込まれている。しかし、今回の震災で明らかになったことは、やはり日本にはその価値観は当てはまらないということ。人間が中心で、すべてをコントロールすることなど不可能なのだ。なら、私たちはこの震災後どのような社会を選択していくのか。自然に任せるように、政治家に任せるのか?矛盾しているようだが、今は自分たちで判断し選択しなければならない。いろんな立場から意見を出し合い、話し合っていかなければならない。
ぼくらはどちらに向かっていくべきなのかを。

現地では今も燃料や医療品、人手など様々なものが足りていない。二次災害で亡くなられる方も後を絶たない。被災をしていない人間たちは、自分の持ちうる力で最大限できることをしてゆこう。


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