2012年10月18日 シェムリアップ
カンボジアは水浸しの国だ。大地にはほとんど起伏がなく(少なくとも僕が移動している範囲では)、雨季終盤のこの時期辺り一面おおきな水たまりだらけになる。道沿いに建つ家々はほとんどが高床式で、子供たちは水牛や水鳥と一緒に家の前にできた池のような水たまりで遊んでいる。日本で河川が増水したときにニュースで流れるような景色が日常の景色としてこの国にはあり、きっと水に対する意識も僕たちとは違うのだろうなと感じる。
3日前からアンコール・ワットで有名な町シェムリアップに来ている。世界中からツーリストが集まるこの街ではホテルやゲストハウス、レストランやお土産物屋が立ち並ぶ。物価も少し高い。アンコール・ワット遺跡群の3日券を購入し、自転車をかりて遺跡を回る。トゥクトゥクというバイクタクシーがいたるところで客引きしているが、貧乏なバックパッカーは最安の移動手段を使うのが基本。ヒンドゥー教寺院のアンコール・ワット、仏教寺院のバイヨン(アンコール・トム内)を中心にこのエリアには無数の石造建築がある。好き嫌いと言う前に、そのスケールに驚く。友人の彫刻家が石彫しているところをよく見ていて、石という素材の扱いの大変さを少し知っているだけに、これだけの規模のものを作るのにかかる膨大な人員と時間、予算を想像するだけで頭の中は宇宙になる。個人的には完成された印象を受けるアンコール・ワットより、どこかアンバランスに見える仏教寺院バイヨン方が好きだ。
それはさて置き、昨日彼女に貸して頂いていたi phoneを紛失した。しかもいつどのようになくしたのか全くわからない。気づいた時にはカバンの中からi phoneだけが無くなっていた。どこかで落としたのかもしれないし、知らぬ間に誰かに取られたのかもしれない。あまりのパッとしなさに気づいてからしばらくしてもその事実を受け入れられず、今でもどこかからすっと出てくるような気がしているが、何度血眼になって探しても出てこない。東南アジアの空気にやられ、どこか気が抜けて貴重品の管理等が甘くなっている自分への警告だろうか。湿度でべたつく肌と同じように脳内もベタついているような感覚。しかし、いくら誰のことも責められないからといってその土地の風土を責めてもしょうがない。自分が悪い。それに尽きる。
それにしても人に借りているものが無くなるというのはショックが大きい。i phoneをi padにして返さないといけないだろうか・・・はぁ。
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