2013年7月24日 グアナファト→メキシコシティ
旅に出る前、PCの壁紙をある街の写真にしていた。インターネットで偶然見つけたものだが、カラフルな家々が立ち並び、その真ん中にはシンボリックな教会がある。日が暮れるギリギリの時間帯で、まだ黒ではなく薄い青空の下、少しずつ街灯や家々の灯りがつきはじめているという写真。なんとなく気に入って、そこがどこなのか全く知らないまま長い間使っていた。
メキシコシティからバスで4時間。グアナファトという街まで移動。元々銀山で栄えた街らしく、一時期は世界の3分1の量が採れていたらしい。それで豊かになったためか、街は美しいコロニアル建築が立ち並ぶ。家々の下にはかつての坑道跡や地下水路跡が無数にあって、現在は地下道になって残っているのも面白い。夕方到着したのですぐにご飯を食べに行き、その後、街全体が見渡せるという高台に登ってみた。この街に来たのは初めてだが、そこからの景色には見覚えがあった。そう、ずっと壁紙に使っていた写真はここから撮ったものだったのだ。その街がメキシコにあるということも知らなかったのに・・・。ものすごく嬉しくなって急にこの街を身近に感じはじめる。観光地、そして学生の街のためか、夜遅くまで外で飲んでいる人がたくさんいる。またいたるところから楽団の演奏も聞こえてくる。しかし、うるさいという印象は全くなく、そういった音が街の雰囲気をよい意味で引き立てている。治安もよくいい街だ。
再度メキシコシティに戻り、お腹をこわして数日寝込んだ後、近代美術館や国立人類学博物館など沢山のミュージアムを回った。そのどれもが素晴らしく毎日お腹いっぱいだったのだが、中でも建築家ルイス・バラカンの自宅(世界遺産)はうっとりするほど美しかった。建築をやっている日本の友人や、旅で出会った建築家が皆「メキシコに行くなら行ったほうがいい」と勧めてくれていたので、予約をして行ってみた。家の中は数人ごとにガイドと一緒に回る。何よりも感動したのは光の取り入れ方だ。ほとんどの部屋に外光が差し込み、さらにそれを反射する金色の絵や金属製のオブジェが計算されて置いてある。その為部屋は電気をつけなくてもかなり明るい。そして実際に見える照明はほとんどない。間接照明が「そんなところに!」という場所に仕掛けられている。リビングにある大きく切り取られた窓からは庭の緑しか見えない。都会の真ん中にも関わらず、まるで山の中にいるような気分だ。いたるところに遊び心も隠れていて、それを発見する度見学者全員が唸るのである。建築とはこういうものなのだと初めてわかった気がした。僕が自分でモノを作ろうとすると、だいたい手の中に収まるサイズをイメージする。大きくてもせいぜい等身大だ。それ以上のものは自分一人で作れないし、自分一人で作れないということは自分で把握できないような気がしてしまうのだ。しかし、建築は違う。建築家が設計し、大工や様々な職人、沢山の人々が関わって建てられるのだ。そうして完成したものは、自分の思い通りになるのだろうか?そもそもよくそんなものを想像できるものだ。
一週間滞在したメキシコシティを後にして、本日アメリカのオレゴン州ポートランドに到着した。ここは最も来たかった街である。
とても魅力的な記事でした。
返信削除また遊びに来ます!!