2013年4月7日 フェズ→シャウエン→タンジェ→タリファ→セビーリャ
メルズーガから夜行バスで再度アトラス山脈を超える。朝方フェズという街に到着。当初この街にも数日滞在する予定だったが、砂漠の居心地の良さについつい長居してしまったので今回は経由するだけにする。バスを乗り換えシャウエンという街を目指す。バスからの車窓はどこまでも広がる緑の草原で、家畜も駱駝とヤギから牛や馬、羊に変わってくる。アトラス山脈を挟むだけで全く違う景色になるのだ。
ショウエンは山間部にあるさほど大きくない街だが、ここに世界中から旅人が集まるのはほとんどの建物が青色に塗られ、とても幻想的な景色を見せるからである。インドのジョードプルもブルーシティーだったが、あちらは砂漠、こちらは山間部なので光の加減でまた違った雰囲気がある。ショウエンに滞在した3日間はすべて雨だった。ホテルの部屋はかなりかび臭い。2日前まで洗濯物が30分で乾いてしまうような場所にいたのに今は3日経っても乾かない。そこら中水色の街で毎日水に打たれていると気分が落ちてくる。(とても綺麗なのだが)
ショウエンを後にし、港街タンジェへ。そこから船に乗りジブラルタル海峡を渡りスペインのタリファに向う。このタンジェとタリファ、そしてサハラ砂漠、エジプトのピラミッドは全てある物語の舞台になっている。パウロ・コレーリョ著『アルケミスト』かなり有名な本なので知っている人も多いと思う。スペインのアンダルシアにいた羊使いの少年の旅の物語だ。僕はこの本を16歳の頃従兄弟にもらった(以前ブログに書いたインドなどを放浪していた従兄弟)。当時はこの簡単な物語の何がいいのかさっぱり分からなかった。しかし、年を重ねるごとになぜか読み返したくなり既に10回は読んでいる。この本のすごいところは読み返すたび新たな発見をもたらしてくれるところだ。前回読んだ時は全く気づかなかったところに自分が引っかかったりする。今ではよくもまあこんな薄い本の中にこれだけの内容を詰め込んだものだなと感心している。物語の実際の舞台で読むのはまた格別である。興味がある人はぜひ読んでみて欲しい。スルメのような本である。
タリファに着いたのは既に17時を超えていた。たった30分海峡を渡るだけで、時計が2時間も進む。どうしてもその日中にセビーリャに着きたかったので、すぐにバスに乗る。ずっと雨だった対岸のアフリカとは違いこちらはからっとした天気である。港で話したスイス人のおじさんの話では年間を通して気温差は10度ぐらいだという。「僕の育った街では一日で30度の気温差がある日もあるよ。まいったね」おじさんはそう呟いていた。このおじさん、現在はタリファに住んでいるのだが、かつて柔道留学で奈良県の天理に1年間住んでいたらしい。スペインの端っこの街で天理教に関して話をする。僕もかつて興味があって天理教のことを調べたり、実際奈良の天理まで行ったことがあった。まさかその経験がこんなところで活きてくるとは…不思議なものだ。
セビーリャに着いたのはもう日付が変わる頃だった。夜の街を歩くのはかなり危険だと思っていたが、街は人で溢れていた。インラインスケートをするおじちゃんやおばちゃんまでいる。日没が21時頃なのでみな寝るのが遅いのだろうか。この街のフラメンコはスペイン一情熱的だそうである。夜、宿のスタッフに勧めてもらった大衆酒場へ。初めて見るフラメンコは本当に力強く、会場の熱どんどん上がっていくのがわかる。演者の息遣いまではっきり聞こえるほどすべての客が息を飲んでステージを見つめていた。なんと贅沢な時間だっただろうか。しかし、僕はこの素晴らしいステージを1人で見ている。美味しいスペイン料理も1人で食べている。ここのところずっと誰かと共に行動していたので、久しぶりの1人は随分さみしい。
※最近の日記は起きたことを羅列するだけになっている…よくないな。
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