2013年4月19日 バルセロナ
前回の投稿からほとんど時間が経っていないが、ちょっとした出来事があったので書いておこうと思う。
ビルバオから夜行バスでカタルーニャ州の州都バルセロナへ。さすがに大きな街に向かうバスは混んでおり、あまり寝ることができなかった。早朝6時にバス停に着き、歩いて宿に向かう。宿のスタッフの出勤を待ち中に入れてもらうが、15時までチェックインは出来ないという。少し横になりたかったのだがしょうがない・・・とにかく時間までブラブラと街を歩くことにする。
ビルバオも暑かったがバルセロナもかなり暑い。上着を脱ぎたいがスリの多いこの街ではジッパーのついたポケットのある上着を着ていた方が安全である。公園やら市場を回ったあと、まだ時間があったのでサグラダファミリアを見に行くことにする。この街には3日間ほど滞在する予定なので、中には入らず外観を見ながら何枚か写真を撮り、宿に帰ることにした。同じ道を歩くのはあまり面白くないので、来た道とは全く違う道を選び5分ほど歩いた頃だろうか、1人の男性に声をかけられる。
「すみませんスタジアムにはどうやって行くのでしょうか?」
なぜに地元の人ではなく明らかに観光客である自分に道を聞くのか不思議に思ったが、彼がスペイン語を話せないと分かり納得した。現在地を確かめ、「きっとこう行くのがいいのではないか」と説明していると、いきなり後ろから大声で
「警察だ!!動くな!」
という声が聞こえる。振り向くとそこには警察手帳をかざした男が二人立っていた。
「お前たちは今ドラッグの売買をしていただろう!!パスポートを見せろ!」
横の男が素直にIDカードとパスポートを出した。全く悪いことをしていないので僕もパスポートを見せる。僕の顔とパスポートの顔を入念にチェックした後、
「カバンを開けろ!中にドラッグが入っているはずだ!!」
ときた。横の男は素直にカバンを開け、中のものを色々調べられている。僕もカバンのジッパーを開いた。ここで横の男は何もなかったからなのかもう行っていいと言われた。ん?と思いながらも、カバンを開いて見せると2人の警察はカバンに手をつっこみ中の物を調べ出す。1人が僕の財布をカバンから出した時、もうひとりの男が
「どれくらい滞在しているのだ?」
等と質問をしてくる。しかし、僕は視野の隅で財布から現金を抜き取りポケットに入れるのを見ていた。ここでやっと気づく。こいつらは偽物だ。
「OKだ。こちらの勘違いだった。行っていい」
「まて、おまえ俺の金返せ!そのポケットに入れた金だ」
「なんのことだ?そんなことするはずないじゃないか」
僕はそいつのポケットに強引に手を突っ込み、中の金に触るが、相手はその手を振り払い逃げる体制をとる。なんとか数枚の金はつかめたが、まだほとんどはやつのポケットの中だ。2人の自称警官は走り出した。その後を追う僕。
「あぁ、こんなことなら何かお腹に入れておけばよかった・・・」
2人の詐欺師が曲がり角を曲がった先には、先程僕にスタジアムへの行き方を聞いてきたチビでデブの男が車のエンジンをかけて待っていた。車に乗り込む服装も顔も何もかもダサい2人。僕はとても追いつくことが出来ない・・・。呆然と車を見送る。
何人かの人が寄ってきて
「あれは偽物の警官だよ」
と教えてくれる。知っています・・・見ていたなら助けてください・・・。財布を確認すると、これから向かうアルゼンチンの為におろしたお金のほとんどを持って行かれていた。かなりの額である。
トボトボと宿まで歩いて帰る。警察手帳をちゃんと見ればよかった。車の写真撮ればよかった。スティーブンセガールみたいに車の屋根につかまればよかった・・・全ては後の祭りである。とりあえずチェックインを済ませる。宿のスタッフは日本好きらしく、サムライスピリットがどうだこうだと言ってくるが、そんなスピリットはどこへやら、現在は簡単に自分の間合いに入られこんな様だよと言ってあげたい。警察の場所を聞き、けして戻ってくるワケではないとわかっていながらも被害届を出しに行く。しかし警察の繁盛ぶりったらない。長蛇の列が並び、僕のあとからも次々に被害者がやってくる。みなお互いに
「君は何を盗られたんだい?」
と腹立たしさを超えた諦め笑みを浮かべながら話している。この空間には国籍や民族を超えて同じ境遇と感情を皆が共有しており、とてもピースフルな空気が流れていた。本物の警察もとても親切でフレンドリーだ。
インターネットで調べると、偽警察にご注意くださいという記事が出るわ出るわ。皆さんスペインに行かれる際は、スリはもちろんのこと偽警察にもご注意ください。
さあ気を引き締めて強盗の本場南米へLET’S GO!!!
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