2012年12月23日 ティミ
4日前からティミというカトマンドゥ郊外の街に滞在している。この街のオールドティミというエリアは有名な焼き物の産地である。大学の先生の知り合い宅にお世話になりながら、この4日間近くの工場や、路上で作業している職人達の仕事を見学している。
僕が今お世話になっているSanta KumarさんとLaxmi Kumar Prajaptiさん兄弟は、ティミセラミックスという会社を経営されている。ネパールで初めて高温焼成(1200度)による焼き物(普段私たちが使用している陶器)を生産した会社だ。今ではノルウェーやイタリア、アメリカ、韓国、それに日本と世界中から注文を受け日々たくさんの陶器を手作業で生産している。手作業といっても電動化された機械を使用しているが、この停電だらけの国ではなかなか大変なことだ。作っているモノがとてもモダンでびっくりしてしまった。
しかし、今もこの街のほとんどの家ではタイヤで作った手動のロクロを使用し、路上で乾燥、仕上げ、焼成(野焼き)までを行なっている。(野焼きの場合は焼成温度が700度~800度で表面が植木鉢のような仕上がりになる)街のいたるところで煙が上がり、乾燥のために並べられた鉢や水瓶の間を子供や犬、鶏が走り回る。今まで日本の焼き物産地もたくさん見て回ったが、独特の湿度、匂い、テンポがあり、同じような雰囲気が漂っている。この街ではほとんど販売を行っておらず、生産がメインなのでツーリストは全くいない。地元の人もこちらを物珍しげに見てくるが、僕が焼き物をやっていて(そう言っていいかはわかりませんが)日本から来たということを知ると、「さあさあ中に入れ」という具合に色々なものを見せてくれる。今まではどうしてもツーリストエリアが中心の旅になってしまっていたが、焼き物という自分なりの視点を持っていたおかげで、この国の少し中の方を覗けたような気がした。会社がとても忙しいにも関わらず、ご兄弟は交代で一日ずつ僕の相手をして様々なところへ連れて行ってくれた。「貴重な時間を潰してしまって申し訳ない」と伝えると、「あなたは陶芸家で私も陶芸家だ。ただそれだけのこと」とおっしゃった。うーん自分にこんなことができて言えるだろうか。それだけでなく快適な寝場所と美味しい食事も提供していただいた。(この国に来て初めてのホットシャワーもここで浴びることができた)11人の大家族で食事の際はいつも賑やかで楽しい。本当に至れり尽くせりの4日間だった。
約20日間滞在したネパールを明後日離れる予定だ。インドから来たということもあるが、(インドも大好きです)人々は皆優しく、かなり過ごしやすい国だった。人生で初めて2度訪れた国である。しかし、インドから続く都市部の空気の汚さに喉と鼻が常に調子悪く、そこからくる頭痛にも悩まされた。早く空気の綺麗な場所に避難したいが、これから向かう中東もイメージではあまり変わりはなさそうである。(笑)僕がこの国にいる間に日本では大きな選挙が行われ、僕の人生の大半がそうであったように自民党が政権を取ったようだ。これに関しては投票をしていないので何とも言えないが、離れている間も日本では様々なことが起きているんだなと実感した。物事は常に移り変わっていく。(今回の選挙は変わったのか戻っただけなのかわからないが)その中で変わらないものはなんだろうか?中学生の頃からずっと考えているこのことの答えはきっと、世界中どこでも同じはずだ。そう思っている。さてそれは何か?知らない街の裏路地を歩き、人々の生活を見ながら、そのことをまた考えている。(まあなんとなく分かってはいるが)
※陶器に関する用語が多くなると、文章の中が( )だらけになってしまいます。すみません。そして、陶芸をされている方にとってはとても説明不足な内容です。これまたすみません。お詫びに動画を貼り付けます。このアップロードになんと10時間かかりました。しょっちゅう停電かつ弱いwifi頼りだと何をするにも時間がかかります。
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