2012年9月23日 香格里拉
まだ中国の雲南省を旅している。
中国の寝台バスは2段ベッドが中に3列に並んで設置してあるのだが、最奥の席だけ通路分も含めて5人雑魚寝のベッドになっている(わかるかな?)。運悪くその席になってしまった僕は中国人の男性4人と雑魚寝しながらの移動になった。さらに空調の調子が悪くエアコンがまったく効かなかった為、周りは全員上半身裸になり、暑さと体臭でまったく寝ることができないまま17時間を過ごし、昆明から標高3300mの香格里拉まで上がってきた。
この街は、デチェンチベット族自治州で、映画化された小説『失われた地平線』(ジェームス・ヒルトン著)の舞台になった理想郷シャングリラを、地方政府がこのエリアがモデルだと主張し、2002年に名前まで変えてしまったところだ。僕はこの街を高校生の頃テレビで見て、すごく惹かれるものがあり長い間片思いしてきた。きっと顔が似ているという親近感と彼らの信仰や標高3000m以上の高地での生活という自分の生活とは全く違う部分に興味を持ったのだろう。10年越しの想いで訪れた香格里拉の街は観光地化が進み、僕の思い描いていたものとは違っていたが、昨日今日とローカルバスに乗り、近くの村や国立公園を回ってみると、そこには僕の理想郷がまだちゃんと待っていてくれた。
山間部のバスは人々の大切な足である。街の学校で寮生活をしている子供たちを週末家まで運び、屋根には街で購入した大量の荷物が縛り付けられ、ヤギまで乗せられる。ローカルバスに乗っているとそうした山の人々の生活が垣間見える。旅が始まってこれまでどうしても都市部ばかりの移動になっており正直消化不良になっていたが、ここへ来てやっといつもの旅のペースが戻ってきた。日本でもこういった山間部ばかり旅していたのだが、服装や会話の内容(なんとなく)、食事、住居、雰囲気など共通部分の多さに驚く。
この辺りの山間部にはいわゆる少数民族の人たちが暮らしている。山を超えるともう女性の衣装が違ったりするのだ。あるナシ族の村でバスを待っていると、おばあちゃんたちがこっち来て一緒にご飯を食べろと誘ってくれた。おばあちゃんたちは「あなたは日本人でしょ?私たちは大丈夫。それにあなたは一人だから呼んだのよ」(以下全てボディーランゲージやフェイスランゲージで会話)と言ってくれた。他にもチベット仏教の僧侶は僕が日本人だと言うと、「それはここだけの内緒だ、他では言うな」とアドバイスしてくれたし、あるおじいちゃんは他の観光客が行かない秘密のスポットをこっそり教えてくれた。今回中国の旅を続けようと思ったのは、香格里拉にどうしても行きたかったのと、そこが少数民族の人たちが多い地域でおそらく安全だと思ったからである。(国民の92%を占める漢民族に対する彼らの思いはなんとなく想像出来る)やっぱり中国は奥が深く面白い。
※ホステルで一緒になった中国人はだいたい優しくしてくれます。あと台湾や香港の子も大変だねと心配してくれています。幸い大陸寄りの顔なので街中では何度も中国語で話しかけられますし、国を聞かれれば韓国人と答えています(韓国、中国、日本の人に申し訳ないなと思いながら)。
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