たとえば、岩壁が崩れ大きな石が谷に落ちる。
石は川の流れの中で止まり、川の流れを遮断する。
川はそれまでと同じように流れることは不可能になり、新たな流れをつくり始める。
もし、長い時間が経ち、この大きな石をどかしたとしても、川は石が落ちてくる前の流れと
全く同じように流れるわけではない。すでに大きな石によって周りは様変わりしている。
また新たな流れができるのだ。
すべてのことはこのたとえと同じだと川を見ながら考えた。
この川に住む魚にとっては、石が落ちてきたことも石がなくなったことも大きな事件である。しかし、産卵の為に毎年この川に遡上してくる魚はどうだろうか?もちろん大変な事に違いはない。しかし、どこか遡上をしてくる旅慣れた魚は、このような変化を深刻には捉えない気がしてならない。
いい意味でも悪い意味でも旅をするものは身軽なのだ。ひとつは変化することに慣れていること。もうひとつは被害や責任が少ないこと。