2012年3月12日月曜日

川の道


ずいぶんと時間が経ってしまったが、1月に三重県の熊野へ行ってきた。昨年の夏も奈良南部に旅行に行ったが、紀伊山地の文化や風習に今とても興味がある。
今回の旅行の中で三重、奈良、和歌山の間を流れる北山川をジェット船で遡上した。
北山川は日本有数の多雨地帯である大台ヶ原を源流域とし、上流部ではかつて林業が盛んであった。急峻な地形に阻まれて、伐採された木々を陸路で搬出することは不可能であったため伐採された木材で筏を組んで下流まで流していく筏流しが行われていた。筏流しによって下流に流された木材は、河口の新宮市において集積・出荷されていたそうだ。つまりは川の道である。船から岸を見ていると、家などもすべて川を向いており、この土地でいかに川の道が重要視され生活の中心になっていたかがよくわかる。自分の意識では道=陸であり、考えてみれば川の道というのはとても理にかなっているのに考えもしなかった。川の街に育った人間として川の道はなかなか面白いテーマである。今回の旅行で新しい視点を得れた気がした。